ワゴンセール。 リュックの山積み。 ツクモに行く途中。 「−−どんな鞄が宜しいのでしょうか?」 「そうだなー。リュックタイプで黒で少し大きいものが入れば良いのだが、無  いなぁ。」 ガサ ガサ ゴソ 「−−これなんかはどうでしょうか。」 「ぴかちゅーばっぐじゃんか。さっき僕が言ったことと全然ちがーう。」 「−−個人的にはこれあたりの方が、良さそうかと思います。」 「それ、げっちのCCS財布と同じやんかー。」 「−−機能的に判断しているのですが・・・たまたま柄が付いていただけです。」 「ほんとかいっ。・・・・わかった。げっちのも買おう!お揃いのやつ。」 「−−え!師匠!私はお揃いなど出来る立場ではございません。」 「今更何を。ほら、探せ。お前もぬいぐるみぶらぶらして歩くわけにはいかん  だろう。」 ガサ    ガサ ゴソ    ゴソ ガサ 「−−師匠。」 「ん?なんだ?また演算か?うわっ!」 「−−リュックの爪で、Tシャツを痛めてしまいました。」 「ばかっ、こんなところで、だすなっ!隠せ隠せ。」 「−−はい、すいません、タイミングの良いことに今日は乳当てをしてきてい    ません。」 「そりゃ、僕のせりふだろ。っていゆーか、乳当てゆーな!、おし、これ、隠  せるやろ、すいませーーん。これくださいー。」 「−−・・・師匠。」 「はい、じゃ、4000円と、200円。ん?なんだ、ジロジロと。」 「−−・・・師匠。顔が赤うございます。」 「あたりまえだろ!。もー。僕これ、げっちこれね!」 「−−欲情されたのでしょうか?」 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□      真大須芹緒2!    笑顔の素、他爆ボタン □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ みかげには新しいバックが導入された。肩掛けの入り口の大きな麻バッグだ。 ぬいぐるみとバッグを左に持たせれば、何とか隠れるだろう。 僕は黒いリュックを買ったが、ポッケが少なく、いまいち不満だ。 「んじゃ、Tシャツ買うか。」 「−−どうしてですか?」 「や・ぶ・れ・て・る・か・ら。」 「−−お言葉ですが、既に鞄購入により問題点は解決しているのでは無いでしょ    うか?」 「なにゆーてる!乳見えるやんか。恥ずかしい!もー。」 「−−・・・そうですか。」 「わ、わ、出すな。出すな。」 「−−この場合の乳とは、乳首のことを差す訳ですよね。」 「そーだ、そーだ、隠せ。」 身代わり不動の前を通り、すぐ角を曲がり、「コンパル」の前へ。 ちょっと空いている雰囲気。 「ここはいりゃー。」 「−−はい。」 「いらっしゃいませー。」 「ここなら、人通りもまだ少ないか。ふぅ。」 水を1口飲む。みかげも併せて1口飲む。 「あ、カツサンド。それから、アイスコーヒー。…HM充電してもいい?」 「あら、ごめんなさい。うちは充電やってないんですよー。でも、そこコンセ  ントあるから、使っていいですよ。」 優しいおばちゃん。 「ほれ、みかげ、手首」 「−−乳首・・・あっ」 (おしぼりぺし) 「て・く・び!  だせ!声が大きい。」 「−−はい。」 かちゃん。 僕は潜って、テーブル下のコンセントにコードを差す。 手首のアダプターのランプがグリーンになる。献血しているような感じ。 (ぺし) 「おまえも空気呼んでネタ振れ!猥褻少女め。」 「−−申し訳ございません。話の流れを読んで、言い間違いでは無いかと聞き    直しました。」 「流れ読んだら、手首だろ。」 「−−先ほどの話かと思いました。今整理中です。…確かに手首でも間違いで    はありませんね。」 「手首しか正解無いだろがふつー!」 アイスコーヒー来る。一口飲む。優しいおばちゃんは暇なせいか話したそうだ。 くわばらくわばら。 「−−先ほどの話ですが・・・」 「なんだ?まだ乳首か?」 「−−はい。乳首の露出で問題なら、乳首を一時的に取ってしまうのはどうで    しょうか?」 手のひらには乳首。 「ぶー!」 「−−(テーブルを拭きながら)社会的に問題にならないかと思う、良いアイ    デアだったのですが…いかがでしょう。」 「(口を拭きながら)確かに、今のげっちの乳首はひっつけ物だ。局部パーツ  も買っとらへんから、見かけ上付いているようなもんだが、問題は服が破れ  ている事であって、乳首が見えるのは2次的なもんだ。」 「−−はい。」 「だから、服を買う。」 「−−乳首を取れば無駄な出費が省けます。鞄の出費が無意味になってしまい    ます。」 「げっちの鞄は無駄では無い。僕の鞄が無駄買い臭い。」 と、僕のリュックを持ち上げる。 「ま、古かったから、先行投資といいたいとこだが、一番ポッケの少ない鞄を  買ってもーた。」 「−−そうですか。申し訳ございません。」 「あんた、ここで待っとりー。僕服買うで。」 店の人に食い逃げと思われないよう、財布から2千円札1枚を出し、財布はテー ブルに置いておく。 僕はコンパルを出る。 出る瞬間にあの優しいおばちゃんが、みかげに声をかけていた。 「あんた、あの人のメイドさんかね?・・・・」 ああ、いやな予感がする。早く服を買ってやらねば。 元来た道を戻り、財布屋から数件離れた服屋へ。 どれでもいいから。何かTシャツを。 Tシャツにこだわっているのは、安いからだ。今日は高い買い物をするから値 段を押さえたい。もう一つちょっと不純な動機もあった。 Tシャツの上からちょっとだけポッチが確認できたのだ。誰にも言うまい。僕 の距離からやっと確認できる程度の隆起だが、眼鏡、Tシャツ、ポッチと、か なり三種の神器レベルまで来ていたのだ。 歩きながら、Tシャツポッチは併せて1要素かもしれないな、とも思う。 ポッチとは何かという説明は敢えて避けておく。ヒントは先程みかげが外した 物体だ。 ああ見えても、セリオタイプはかなり豊満に作ってある。パーツの作りもいい し、外皮総交換だと3万はする。小さいTシャツだと見えすぎるだろうなぁ。 いいのがあった。ラージTシャツの黒だ。 買う。 走る。 店の前で少し歩き息を整える。 「いらっしゃいませー。あらー、ご主人様が帰ってきたよー。」 「−−はい。安心しました。」 店員おばちゃん2人にコックが僕を見てにやついている。 駄目人間烙印確定か?! 僕は、ちょっと会釈しながら席に着く。 話しかけてきたのは、あの優しいおばちゃんだ。 「んまぁ、ちょっと、お師匠さん!」 「は?はい?」 「ちょっとは、夜の方もやったらなあかんでー。」 もう一人の痩せたおばちゃんも追撃を開始。 「そやにぃ!ほら、こんな可愛い子がねだっとるのによー。」 「はぁ。」 「わたしらの若いときはよー、いらんちゅーのに男の方からやってきたもんだ  がねー。さーいきんの男の子は奥手だでかんわ。」 くっ、ばばあ! 「ほーだに。やったーりゃー、やったーりゃー。」 おまえもか!痩せたばばあ! さらに優しいおばちゃん近づく。 「その、局ぱーつ買ってやりゃー。お嬢ちゃん欲しごーとるで。」 みかげ!言ったのか!それを! 「ああ、アレ買うと乳首立つようになるよー。」 ぬぉー。コック!いらん事を! 「−−私も欲しゅう御座います。」 やや左向きに下を向くみかげ。顔が赤い。 「−−・・・・・」 「−−・・・早く「し」とう御座います。」 斜め眼鏡越し上目遣いもじもじだ。殺傷力高し。みかげ無罪。 「うひゃひゃひゃひゃひゃ。若いもんはえーねー。」 くそう! 僕はカツサンドを口に押し込み、アイスコーヒーで流し込む。 この際だから、客も居ないので、Tシャツを着せる。 「お、似合うとるがねぇ。可愛いがねぇ。」 「−−はい。恐縮です。」 「それで、局ぴーつおねだりしたりゃー。うひゃひゃひゃひゃひゃ。」 「きょ、局ぴーつ・・・」 「−−師匠。局部パーツのことを仰っているのです。」 「せ、せつめいせんで、ぇぇ。」 「あ!そうそう、それそれ、「きょくぶぱあつ」うひゃひゃひゃひゃひゃ。」 もう、恥ずかしくて顔から火が出そうだ。お金を払う。 「またこやーよ!まけたるで!」 「局パーツ見せてーね。」 「やったら、お祝いしたるでな!お嬢ちゃん。」 悪い人たちとは思わないが、次来るときは強制猥談をさせられるのか…。 「−−良い人たちですね。」 「う?・・・ああ。」 「−−いろいろお話ししました。」 「HMはプライベート用件を人に言わないんだろ?」 「−−はい。あくまで匿名の相談事です。」 「がくっ。やりこめられるとは。」 「−−師匠!朗報があります。」 「ん?」 「−−局部パーツが無くても、お・く・ち・で…はぐっ。」 「ぬお!?こっくか?コックがいったんか?しかも1音ずつ!」 ふるふる。 「ばばーか?」 こくこく。 おのれー。純粋なみかげに! 「それは、言うていかん!公衆の面前ではいかん!」 こくこく。 「−−・・・」 「・・・・・」 「−−ふぇ…むがっ!」 「それもだめ!」 (びしっ!) ツクモの前に来た。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−fin