2人してカタログを覗き込んでいる。 「−−特に意識する事が無かったのですが、結構高額でございますね。」 「うむー。」 「−−記憶よりも、より細かなサービスが追加されています。」 「ううー。」 「−−さらに値上がりしています。」 「むむー。」 「−−「new!特撮怪獣図鑑」などは、特に生活には必要もなさそうです。」 「いや、それは要る。僕は要らないが、必要としている人を多く知っとるよ。」 「−−はぁ、そのようなものですか。」 「そんなものだがね。」 「−−興味が沸きました。」 「落とすならやはりこれやろ、「定番!MTGレアリティ大全」か、「定番!ア  ニソン歌詞全集」。」 「−−サイズが小さいですね。」 「怪獣リストのように形状判別データが無いからね。」 −−−−−−−−−−−−−−「大須芹緒組3」−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− テラメディアを買いこみ、その足で「ジョウシン」に行く。 サテライトシステムのカタログを見つけ、まじまじと見ている中、セリオが覗き 込む。眼鏡を正し、上からなめるように見ている。 「しかし、月8600円は高いなぁ。」 「−−はい。しかし、1年契約なら10%引きです。確か私達導入時、サテライ    トサービス開始当時は7200円でしたから、…まだ高うございます。」 「うー!やっぱり高い。やめやめ。」 と、カタログをポイとおき、その場を去る。ショーウィンドウにはオールインワ ンタイプのメイドロボが飾ってある。 僕は横目で見た程度だが、セリオは一度立ち止まっていたような気がした。 信号を待って、向かい側の専門書籍館「シグマ」に行く。 「−−パケットサービスという選択肢もありますが。」 「どちらにしてもアンテナレンタル料のため、現状料金に近いやろ。」 「−−お察しの通りです。」 「ハウスメイドで教え込むってスタンスがいい。」 「−−?」 「君に必要な事は僕が勉強して教えるよ。基本はできてるんだし。」 「−−お心使い、恐縮です。メイドロボは主の煩雑さを無くす事も目的なので、    お断りしたい所存ですが。」 相変わらず僕はセリオの断り文句半分で歩き出す。 信号は青になっているが、セリオは立ち止まっている。 また、パラドックスで停止か?サテライトの利点はこれの解除もあるんだよなぁ。 単に模範回答を渡すだけだろうけど。 後継機では、この「Blank8sec」がコプロにバンクされるらしい。 シグマの入り口に入ろうというところで、小走りに追いついて寄ってくる。 「−−旦那様!」 「呼ぶなっつーに。」 「−−申し訳ございません。私は、あの、私は…」 「?」 僕が傾げた。 「−−スポットライト程度の役立ちなのでしょうか。単に、旦那様の趣味の一環    で、玩具としてのご購入でしたのでしょうか?」 僕はため息をつく。 「結論早いがね。」 「−−?」 「何で、稼動3・4日でうちんとこの事情全てがわかるんよ!」 「−−おっしゃる通りですが、しかし、無奉仕期間が長いのも問題です。」 「ま、仮に玩具としてもだ。心の奉仕でもあるだろう。物理的な奉仕が100%  なんて言いやがんなよ!そらそら、付合えよ」 「−−はい。本当です。心身ともに奉仕する前提を忘れていました。」 「お、せりちんは忘れる事を会得していたかね。」 「−−いえ、優先度の比較ミスです。今晩中に訂正しておきます。」 2階。HM書籍ブース。 「−−ざっと1000冊以上はあると判断できます。大規模な書籍ブースですね。」 「うむ、ここには、サテライト交信ができないタイプ向けにテラCD付きの本が  販売されている。」 「−−その方法がありましたか。時代の変化を感じました。さすが、旦那様です。」 「みなまでいうな、では、サテライトシステムのCD配布版、若しくはサードパー  ティーアペンドデータを探す!」 「−−またサードパーティーものですか。かしこまりました。それで、ご予算は…」 「せりどんが持っている財布が教えてくれよう。」 「−−8000円…」 「では、解散」 集合。 「んん?ぼかぁこれだね。「最新HMなぜなにメンテ1000」」 「−−私は「サテライトに無い家庭料理集」「お金が溜まる節約秘本!」」 「まて、節約本、どこのだ?白夜書房…怪しさ爆発っ。やめ。さげ。」 「−−そうですか。旦那様が好きそうな表紙と判断したのですが。」 セリオの読みは正しい。内容がそれで無ければ、買っている。 そんなもの買ったら、あんさんに無駄遣い説教をくらいまくるわ! 2冊購入、3400円。 「−−帰ってインストールするのが楽しみです。ああ、やっとご恩返しを行え    る時が来ます!」 両手を組んで宙を仰ぐ。セリオ作った人すげー。それがデフォ動作に入っとる のか! 「お楽しみはまだ先だ。2時間経ったからパチンコをするぞ。」 万松寺駐車場は30分300円、パチンコ屋で1000円使うと4枚の駐車場 券を2時間毎に貰える。1枚30分だから2時間分。もし、買えば1200円。 200円の得でかつパチンコが勝てば、うはうはだ。そこで、2時間経つごと に1000円だけパチンコをする事にしている。 アーケード街にはいり、「モナコ」へ行く。 スロットが好きなので、スロットコインを50枚買い、座る。 「−−このような遊技場は初めて入ります。」 「ほら、今日は客少ないから、隣座れ。」 「−−はい。」 スロットマシーンが空回りしていく。 「うーん、でないなぁ。1000円じゃ、こんなものか。」 「−−何が面白いのでしょうか。」 「やってみ」 と、3枚渡す。 普段聞かない回転音とともに右上の花火ランプが点灯する。 「おお!1発かい!せりっち!」 「−−どうなったのでしょうか。」 「当たったんだよ!」 席を替わり、コインを大量に獲得している最中に店員の声。 「お客さん、ロボットに打たせちゃ行けませんよ。」 よく見る制服の人ではなく、普段見ぬ黒いスーツの人。5分が経つ。 「−−当たったのに、没収されてしまいましたね。私のせいです。」 「気にすんな。当てたのもあんただ。」 「−−単純換算で、9800円はありました。」 「追い討ちはうまくなったね。(にへら)」 「−−ああ、申し訳ございません。えと…、また当たりますよきっと!」 「……そ、そうだな。」 予算3600円。 僕には帰宅前にもう1件寄りたい所があった。とりあえず車に乗り、大須 から離れる事にする。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−fin