背伸びをする。 「うーーん!暑い!変なにおいする!台湾だ!」 「−−はい。気温と湿度が高く検知されています。台湾です!」 「まぶしい!」 「−−はい、時差は1時間だそうです。」 「空港からタクシー乗るか。」 「−−ホテルの場所をチェックします。」 「あ、紙、紙・・・僕持ってる。はい。」 「−−むむむ。(ぺらり)富都大飯店。ここでしょうか?」 「そうだね。そこだ。「ふとだいはんてん」は違うぞ、げっち。」 「−−ええ!では・・・むむむ。」 「いらん事ばっかり考えて、前勉強しなかったな。「ふぉーちぇんだぉふぁん  でぃあん」と読むんだ。」 「−−ふぉーちぇんだーふぁんでぇん。」 「うむ。タクシーにのって言うには、「請到富都大飯店」と言う。」 「−−くぃんだおふぉーちんだおふぁんでぇん。」 「よくわからんそぶりなら、「想去台北市區(市内)」と言うのだ。」 「−−はい。しゃんちゅいたいぺーすーちゅい。」 「それでも駄目なら、この紙をみせて・・・ん?どうした。」 「−−・・・役立たずロボットです・・・。」 「また言ってるよ!台湾まで来てこのやりとりかい!」 「−−事実です!ポンコツのパーです!」 「ゆーな!ゆーな!」 「−−私の調べたデータは何だったのでショー!」 「語尾あげんでもいいがね。なんか調べてきたんだろ?」 「−−ぅぅ。はい。」 「言ってみ。調べたこと。きいたるよ。」 「−−逮捕しちゃうときは「逮捕令!」でス。」 「ふんふん。」 「−−帯をぎゅっと締めるとキは「柔道小霸王」です。」 「・・・。」 「−−地球を守って欲しいときは「地球守護靈」です。」 「−−その気にさせてよは「九尾妖狐」デす。」 「−−トップをねらうときは「勇往直前」です。」 「−−ファイナルファンタジーは「太空戰士」です。スケパン刑事は「神秘女    刑警」で…しゃう!」 (ぺち) 「それ!タイトル訳やんか!」 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎  30000ヒット記念SS  台湾芹緒組!   通訳いないアルヨ! ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ タクシーで走る。 みかげはタクシーの窓に貼り付いて外の景色を見ている。 「−−大きなホテルというお話シですね。楽しみですね。」 「うむ。今日はチェックインで、ゆっくり休んでも良いかな。」 「−−時間にかなり余裕が有ります。」 「休んでから出かけれるなら、出かけよう。」 「−−はい。街を歩くのが楽しみです。」 「至る所、日本車だ。」 「−−はい?そうなのですか。」 「日本車でない方を探すのが大変だ。それに凄いバイクだ。」 「−−はい。数のことを指していますネ。凄い数です。」 道は広いところで片道3車線。 その1車線に信号待ちのバイクが3列10行ほど止まっている。 信号が変わると差詰めバイクレースのようだ。 「原チャリばかりだがね。」 「−−はい。2人乗りも多いですね。」 運転手が口を開く。 「タイワン、週末ネ。夕方はアベックで公園イク人オオイネ。」 「ああ!日本語しゃべれるんですか?」 「ニホん語、オッけーね。ホテルもうすぐネ。」 「−−あら。」 きょとんとしてこちらを見るみかげ。 ああ、さっきまで一生懸命話したのに。 きききー 「着いたヨ。ユクリお休みね。タクシのお金はらてね。」 「ん、ああ。・・・あっ!」 「−−??どうしましたのでショーか?」 「あんたまで何真似しとるが。げっち、金換金したっけ?」 「−−換金??・・・ああっ!師匠!」 2人で財布を見る。 「ダイジョブダイジョブ。ホテルお金あるから、お金変身デキルヨ。待ってる  よ。」 「げっち、まってて。両替に行って来る。荷物降ろしてて。」 「−−はい。」 「ハハハー。荷物手伝うネ。」 「−−申し訳ございまセん。」 両替をし、戻ってくる。タクシーのメーターは260と出ている。 「−−お帰りなさいませ。」 「1万円の両替で2880元だ。はい、げっち。」 「−−むむむ。換金レートは3.472。約3.5倍の演算です。」 「260元だけど、台北はタクシー料金機と法令の都合で、50元上乗せで払  わなくてはならないみたいだ。両替説明に日本語で書いてあるよ。」 「−−310元ですね。1100円。運行距離から考えても日本よりずいぶん    安う御座います。それデは、100元3枚と10元。」 「それ、全部やれ。スムーズに来たし。」 「−−はい。では、380元お払い致します。」 「オオ!アリガトね。チップくれる、やさしいね!」 「−−お礼は師匠にお言い下さい。」 「シショサン、アリガトね!謝謝!謝謝!」 タクシーが去る。 ホテルに入る。 「うわぁ。」 「−−綺麗なホールです。感激です。」 「げっち、ほら、チェックイン」 「−−はい。」 カウンターへ行く。先ほど両替をして貰った所だ。 今度は「CASHIER」の看板の反対側に行く。 お姉さんが、一人、立ってこっちを見ている。 横にはHMらしき娘が2人座り、制御パネルを操作している。 「イ尓好、我想幇助イ尓?」 「あ、あの、これですが。これ。」 「我的住宿票。是、晴稍等。(にこ)」 「−−(なんと言っているのでしょうか?)」 「(しらん。早くて付け焼き知識じゃわからん。笑ってるから、いいんでない   かい?)」 「−−(言語分解は可能ですが、残念です。英語ならデフォルトで持っている     のですガ・・・。)」 「(台湾語…中国語だろうな。こんなんはデフォルトでもなさそうだな。分解   できんやろな。)」 「−−(申し訳御座いません。ああ、サテライトがアれば・・・。)」 「(気にすんな。なんとかなるだろうよ。)」 カウンター嬢は少し顔を曇らせる。横のHMに色々話す。 「アイヤー。胡説?可以住地方?可空間住的票?」 「**不是可。」 「(アイヤーって言ったよ!雲行きが怪しいよ。)」 「−−(言語状況に不安を検出デきました。)」 「(横のHMも淡々と何か言ってるよ。)」 「−−(理解デきますが。言葉が理解できません。)」 「(あいやー。)」 「−−(アイヤーとは何でしょうか?)」 「(「アイヤー、しまったアルヨ。」とかに使う感嘆語だ。まさか中国圏の人    が本当に言うとは思ってなかった。)」 「−−(しまったアルのですか?)」 「(うむ。どうやら何か失敗してるみたいだ。)」 カウンター嬢はこちらを見てしゃべり出す。 「讓イ尓久等了、真對不起・・・。請原諒。真・・・。」 「**領袖!稍等。我有良好的主意。」 「なんだ?なんだ?」 「−−横のHMさんが、何か叫び出しまシた。」 「ねーねー。キャンユースピークイングリッシュ?」 「不是。NO。デキませン。」 「**I can English a basic level.May I speak about? 」 「おお、あんた偉いよ!」 「**什麼?What?」 「おけおけ。わっとはぷん、じすうぇい?」 「**Sorry sir. I don't understand your langage.」 「え?なに?」 「**What?」 「−−師匠・・・英語・・・駄目で御座いますね。」 「うぎゃーっ!!」 みかげは暫く動きを止める。いつもの演算動作だ。 「−−師匠!良いアイデアがあります。」 みかげは手首をカウンターの上に持っていき、カシャとオープンさせる。 通信ケーブルを引き出し、話し出す。 「−−プリーズ。コネクトミー。コンタクトアス。アイビルドホスト。」 「**O.K. sir.」 カウンターのHMはみかげのケーブルの先端を持ち、自分の首の根本に差し込 む。 「−−こうすれば、低レベルな言語形態で会話が可能になりまス。」 「おお、みかげ!すごいよ。」 みかげは僕に軽く会釈をして微笑む。 「−−はい。お褒め頂き、恐縮です。」 カウンターのお姉さんがカウンターHMに話し、ケーブルを通じてみかげが僕 に話す。 「−−お部屋がこちらのミスで取れていないヨうです。」 「ううむ。」 「−−重要な来賓も有り、スイート等も塞がっています。」 「そうか。」 「−−よろシければ、近くの別のホテルを紹介したいそうです。タクシーも付    けますので、そちらに行って頂けませんか?との事です。」 「いいよ。まだ4時半だしな。」 「−−了承を伝えまシた。」 「**Thank you sir. 謝謝。(ぺこり)」 「あ、どもども。」 僕たちはロビーで待つ。 暫くするとタクシーが来て、別のホテルに向かう。 福華大飯店:フォーチュナホテル。 さっきの倍は有るようなホテル。 中に入ると中庭のような吹き抜けがあり、4階までがファッション店などのアー ケード街になっている。その中庭にはカフェテリアがあり、噴水があり、ピア ノとギターを生で演奏するステージがある。 その脇には3人のコックがフライパンで青っぽい炎を上げながら豪快に料理を している。 中華料理っぽいゴマ油のいい匂いが漂う。 「うわぁ。」 「−−先ほどよりランクが高いホテルと判断いたします。」 「うん、これでタダな訳だし、結果オーライって所だな。」 「−−お部屋は12階12525号室です。」 「行こう。行こう。」 部屋。 どこに行っても蒸し暑い台湾では、ホテルの1室はとても快適な空間だ。 僕はシャワーを浴び、窓を眺める。 夕方の台北の町並みはだんだんオレンジ色になっていく。 眼下では小さな車やバイクが縦横無尽に走っている。 なのに静か。 「−−涼しゅう御座いますか?」 「ん、ああ。」 「−−嬉しゅう御座います。」 僕はゆったりとした木製の椅子に座る。 「ん?」 みかげの方を見る。 みかげは、ベットの脇に両膝を崩し、充電をしながらこっちを見ている。 目が合う。 ちょっと恥ずかしい。 みかげのそうなのか、一度眼鏡を拭き、かけ直す。そしてまた眼鏡を拭く。 言葉で割ってしまうのが嫌な雰囲気だ。 ずっとこうしていたい。 「夜・・・でかけよか。」 「−−はい。付いていきます。」 「このパンフ見ると、「夜市」と言うものが有るらしい。大須のお祭りの日を  凌ぐ露店通りがあるそうだ。」 「−−大須は毎月28日でしたね。台湾では毎日なのですか?」 「ああ。受け売りだが、こっちでは家で食事をしたりする習慣が無いからな。  みんなそういうところで食事をしたりするんだ。特に今日明日は週末で凄い  にぎわいだろうな。」 「−−楽しみで御座いますね。」 煙草をくわえる。 「明日行く光華街(HM街)みたいな物も有るかもな。」 「−−パーツも有ると言うことですか?」 「かもな。行かなきゃわからんけどな。こっちのHM変わってるな。ああいう  ファッションが売ってるかもな。」 「−−はい。どのHMさんも首の辺りの両側に、私達の耳みたいなパーツが付    いています。」 「拡張端子も首に付いてる連中が多かったね。」 「−−はい。受付のHMさんもそうでした。」 「アレ、げっちに付くのかなぁ。」 「−−何だか私だと格好が悪くなるような推測をします。」 「んなこと無いと思うよ。」 みかげは僕の渡したホテル観光用パンフを見ている。 パンフをぎゅっと持ち、ずり落ちる眼鏡を戻しながら。 所々日本語で書いてあり、それなりに読める。 みかげは穴が空かんばかりの勢いだ。 着替えながら僕は話し出す。 「さて、げっち、充電オッケーか?そろそろ出ようか。僕も何か食う。」 「−−私も夜市でひとつ買いたい物が有りました。」 「んんん?よいしょっと。」 「−−真珠入りです。」 ばたん。 倒れる。 ズボンは膝あたり。 「ししし・・・しんぢゅ・・・。」 「−−師匠に是非。・・・真珠。」 「うわ、ズボン脱がすな!何だそれ!しゅ・・・手術?!」 みかげはパンフを持って、ベットに上る。 僕にぐっと近づき、パンフを見せる。 「−−これです。」 【一度お試し有れ!真珠入りドリンク】 「・・・真珠とは台湾独特のモチモチしたゼリーです。のどごしと味を楽しん  でください。・・・ドリンク。」 「−−はい。それです。一度お試し アレ !…あうっ!」 (ぺち) 「げっち!」 「何で怒られたか、よく判りません演算中。・・・のどごしと味・・・あうっ!」 (びち) 夜市へ行こう! ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎fin